黒兎の夢

 むかしむかし、きのとおくなるほどずっとむかしから、くろいうさぎさんはあくまとたたっていました。
 あくまはとってもたくさんいて、それにすごくちからもちで、かんたんにきをひっこぬいてしまいます。
 でもくろいうさぎさんはひとりしかいないけど、あくまよりもちからもちで、かんたんにあくまをたおしてしまいます。
 だからあくまはみんなくろいうさぎさんがきらいです。うさぎさんもあくまがきらいです。だいきらいです。
 きっときらいだからけんかをしているのでしょう。あくまがどうしてうさぎさんをきらっているのかはみんなしっています。
 でも、うさぎさんがあくまをきらっているのがどうしてなのかはだれもしりません。
 うさぎさんはあくまをみつけてはあくまをたおすけど、すぐにどこかへいってしまいます。どうしてそんなことをするのかだれもわかりません。
 ただ、うさぎさんがあくまをきらいなのはみんなしっています。
 うさぎさんはしらないだれかにきかれました。
 どうしてあくまとけんかをするのかと。
 くろいうさぎさんはよるよりもずっとくろいからだをゆらして、あかいふたつのまんまるのめをぱちくりさせました。
 すこしだまりこんでうさぎさんはこたえます。
 ずっとむかしからそうしてきたから、とうさぎさんはいいました。
 すると、だれかはまたききます。
 それはいつからですか、と。
 うさぎさんはかんがえて、こたえます。
 わからない。きづいたときからそうしてきた。だからそうするのだ、と。
 だれかはたずねます。
 なぜつづけるのですか。
 うさぎさんはさっきよりもながくだまりこんで、またこたえます。
 それいがいになにをしていいのかわからないからだ、と。
 もういっかい、だれかはききます。
 なら、それがおわったらどうしますか。
 うさぎさんはまたかんがえます。さっきよりも、そのまえよりもずっとずっとながくかんがえます。
 だけど、うさぎさんはどれだけかんがえてもこたえられません。
 そうして、ずっとずっとかんがえて、うさぎさんはこたえました。
 わからない、わからない、わからない、わからない、わからない。
 うさぎさんは、なんだかかなしそうにただいいつづけました。
 なんども、なんども、なんども、なんども。
 そのひから、うさぎさんのまいにちははいいろになりました。

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